鎌田貴史
「人のこころを動かすもの」2007年12月1日
日本では、お店のアルコール陳列棚を賑わせているのは“ノドごし爽やかビール”が大多数。たしかにうまいし文句もない。より着実に儲けるなら“爽やかビール”を作ってればいいんでしょう。でも、実は“うまいビール”ってのは爽やかなものだけじゃないんだよ、と。深みがあって、ほろ苦いけどまろやか。そんな特別な味わいを体感させてくれるのがガージェリーなんです。
ものをつくって、感動を与える。“ビールをつくる仕事”とボクがやっている“ウェブサイトをつくる仕事”は根底の部分で共通してるようです。ガージェリーでほろ酔いながら製作裏話を聞いてると、ものづくりに対する姿勢に共感する部分が盛りだくさんでした。人を感動させるものを作るのは結構大変なんです。
たとえばウェブサイトの場合、ユーザーはアドレスを入力して“能動的に”やってくる。にも関わらず、ちょっとでも小難しいとすぐに去ってしまう。いかにユーザーのご機嫌を損ねないようにサイトの世界観に引き込むかを考える中、僕がチャレンジしてるのは“いままで見たことのないウェブサイトづくり”。
人は本能的に刺激的な体験を欲していて、“いいもの”を自分で発見する快感を望んでいる、という仮説のもと、より感動的なものづくりを目指して、膨大な時間と労力をかけています。もちろん楽しいけど、正直しんどいです。しんどい割に、ユーザーに受け入れらてもらえる保障なんてない。でも、だれかがそれにチャレンジしなければ、ものづくりの未来は暗いんです。
というようなことは、ビール業界でも同じことが言えるでしょう。
マジョリティーに刺さるビールというのは確かに存在していて、消費者もそれに満足してます。でも、それでもあえてリスクを負って、本当にうまいと信じるビールづくりに没頭し、ひとりでも多くの舌・喉・心に最高の味わいを届けるべく日々戦う。そんなガージェリーのビールづくりを応援せずにいられるわけないじゃないですか。めちゃくちゃうまいわけだし。